『出版禁止』を読んだ
CATEGORY:読書
長江俊和さんの『出版禁止』という本を読んだ。
元々、フジテレビの『放送禁止』というテレビ番組が大好きで、その番組の企画・構成・演出をしている長江さんの他の作品があれば見てみたいと思い、調べてみたら本を出版していたので読んでみたという経緯。
ちなみに『放送禁止』っていうのはフェイク・ドキュメンタリーという形式で、「ある事情で放送禁止になった VTR を再編集して放送する」という設定で、さも本物のドキュメンタリーのように進行するもので、一見普通のドキュメンタリーなんだけどよくよく注意深く見るといろんなところに違和感があって最後まで見た上でもう一度しっかり見てみると実は裏に別のストーリーが隠されていることに気づく、みたいな好奇心をくすぐる感じのやつ。
「事実を積み重ねることが必ずしも真実に結びつくとは限らない」というテーマで、そのテーマ通り色んな伏線が散りばめられていて最後にそれがぴったりはまる感じがたまらなく良い。
特に個人的に『放送禁止』の劇場版である『放送禁止 洗脳~邪悪なる鉄のイメージ~』という作品が最後にめっちゃ鳥肌が立つ感じでとても良かった。
仕掛けがある映像作品とか伏線とかそういうのが好きな人にはおすすめできるシリーズです。
で、長江さんは映像作品以外にも書籍を出していて、『○○禁止』という禁止シリーズとも呼べる作品がたくさんある。
というのを最近知ったので、『○○禁止』シリーズの最初の作品である『出版禁止』を今回読んでみたという流れです。
感想
『放送禁止』を見たときに得られる満足感とほぼ同じ感覚を得ることができました。
めっちゃ良かった。
この作品も映像作品と設定は似ていて、ある理由で出版されなかったルポルタージュを長江さんが見つけて、その謎に迫るという形式になっていて、一度すべてを読んでからもう一度最初に読み直すと全然違うストーリーが見えてくるという形になっている。
映像作品の方は違和感に気付きやすいようにあからさまにおかしな要素が映ったりしていたんだけど、この『出版禁止』は注意深く読んでいても全然気付けなくて、終盤にほとんどの答えを解説してくれるんだけどそれを見てやっと意味がわかるようになっていて、やっぱりそれに気付いた時のぞわぞわする感じがたまらなく良かった。
あらすじとしては、とある心中事件で死ぬことができず生き残った女性へのインタビューを中心に構成されたルポルタージュがなぜ出版されずに封印されてしまったのか、というのをそのルポを読みながら追っていくという感じ。
仕掛けがあるのはわかっていたので結構しっかり読んでいたんだけどやっぱり全然トリックに気づけなくて、筆者が用意した解決編になって初めてあ~~~~~~~~となる感じがやっぱ癖になる。
長江さんの書籍はまだまだたくさんあるので他のも読んでいこうと思います。
『放送禁止』シリーズを全て見終わったときの喪失感がすごかったので、新たに楽しみがたくさん見つかってとても嬉しい。
おわり。